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今も昔もお姫様。『世界平和は一家団欒のあとに5』

世界平和は一家団欒のあとに 5 (5) (電撃文庫 は 9-5)
世界平和は一家団欒のあとに 5 (5) (電撃文庫 は 9-5)
橋本 和也
JUGEMテーマ:読書

母さんが家出した。理由は言うまでもなく、親父の浮気疑惑だ。いつもの夫婦げんかだと思っていたら、今度ばかりは事情が違っていたようで、2週間たっても帰ってくる気配がない。お陰で、我が家の食卓は壊滅状態。辛うじて柚島の作ってくれる料理によって命を繋いでいたのだが、そんな折、母さんから居場所を知らせる葉書が届いて――

大三郎が面白すぎです。最初は常に人の一枚上をいく切れ者系かなと思っていたら、これが意外と薄っぺらで、耕作や七美に負けたときに見せてくれたリアクションはもう最高。かつては裏社会のトップに上り詰めた男でありながら、とてもそうだったとは感じさせないあの可愛さが何とも楽しい。しかし、考えてみれば耕作以降の家系が特異なだけで、大三郎自身は至って普通の人なんですよね。それであの活躍、うん、まさに高齢化社会のヒーローと呼ぶべきかと。

そして今回の主人公である、志乃さんと耕作の物語は王道中の王道という感じ。だから、もう読み手には一分の入り込む隙間もないというか、もう2人で永遠にラヴラヴするがよい的な様相を呈してます。いいなぁ、キャラクターがどんどん独り立ちしていきますね、この作品は。回を重ねるごとに次のストーリーが読みたくなるから楽しいです。

でも結局、気になる柚島さんと軋人との関係は、今回も平行線。付かず離れずというか、ハッキリとした関係には至らないままで、お互い理解だけを深めていく様子というのは読んでいて非常にもどかしいです。もちろん、2人のやり取り自体は微笑ましくて好きなんですけどね。物語の最後の方で刻人の彼女の話なんかも飛び出していたので、次回辺りは恋愛関係の話が持ち上がってくるんでしょうか。気になるところです。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 01:36 | comments(0) | trackbacks(3) | - |

しあわせのある風景。『桜田家のヒミツ』

桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫 か 15-1)
桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫 か 15-1)
柏葉 空十郎
JUGEMテーマ:読書

妻と小学生の子を持つ源之助は、今時珍しい頑固オヤジ。職業は、世界征服を企む「地獄十字軍」の戦闘員だ。組織の命令に従って悪事を働くわけなのだが、正義のヒーローによる容赦ない制裁のお陰で最近は命の危険に晒されてばかり。しかも下っ端の仕事は他にもあって、42歳の男厄年を迎えた身としては結構辛い。そんな彼の元へ、誘拐した資産家の娘を預かるという重要な任務が下された。実はこのお嬢様、とんでもない性格の持ち主で――

悪・即・爆!という正義のヒーロー達には笑った。そういえば昔の戦隊物では「爆破」的な演出も結構あったような気がするなぁ。今はどうか分かりませんが。黄色はデブでカレー好き、というのは最早神話に近い絶滅危惧種。イケメンが絶対条件の現在の戦隊物では見ることの出来ないキャラクターですね。まぁ、逮捕されちゃうんですが。

個人的には源太郎と麗華の掛け合いがツボ。他人のことなんて考えられない身勝手お嬢様の麗華が、桜田一家の人情に感化されていって、やがて自ら進んで源太郎の手を取ろうとするまでの過程がね、もう、大好きです。パッと見は「戦隊物に出てくる戦闘員にスポットを当てる」ことで意外性を持たせた作品のように見えますが、今では風化寸前の「頑固オヤジのいる家庭」を描いて、それを人情風味に仕立て上げた事の方が実は結構ウェイト重いのではないかと。

ただし、作風に関してはちょっと……というのが正直なところ。やたらと台詞の間に説明が入るし、組織・設定・人物に関しても投げっぱなしな部分が多いんですよね。でも、逆に言えば、それは読者に対して分かりやすいよう心がけた賜物でしょうし、設定等に関しても物語をリアルに演出しようとした結果なんだと思います。更に言えば、それを考慮しても面白かったんですから、これはストーリーの一人勝ちかなと。身も蓋もありませんが、やっぱりラストは幸せな風景が一番。続編はなさそうだけど、源太郎と麗華のその後の物語が気になりますね。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 19:44 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

ここが、僕たちの居場所。『神様のメモ帳 3』

神様のメモ帳 3 (3) (電撃文庫 す 9-8)
神様のメモ帳 3 (3) (電撃文庫 す 9-8)
杉井 光
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彩夏が帰ってきた。あの、おぞましい事件のことも、アリスのことも、街のニート達のことも、そして、僕のことも忘れて。取り敢えず園芸部の活動を再開してみたけれど、彩夏との間にはどことなくぎこちない空気が漂う。果たして、彼女の記憶がよみがえることはあるのだろうか。今はただ、奇跡を願うほかない。でも、神様はそんな僕たちの居場所すらも許してはくれなかったようで……

相変わらずニート達の活躍が光る物語です。もしも、全国のニートがこんな愉快人ばかりだったら、さぞかし日本は良い国になるんだろうなぁ……。いないかなぁ、特にアリスとかアリスとかアリスとか。少佐も楽しそうだけど。あ、テツ先輩だけはかんべんな!そしてヒロさんの現在の転がりこみ先は生々しすぎ。いいのか泡姫とか書いちゃって。そこで特訓とはいえ働いちゃう鳴海君の適応能力にもビックリです。ああ、いろんな意味で彼の将来が心配に……。

と、思・い・き・や。
終盤で彼の鈍感キャラッぷりが見事に炸裂していて悶えました。何なんだ、このもどかしさは。「さよならピアノソナタ」程ではないにせよ、痒い、痒いよッ!テツ先輩でなくとも一発お見舞いしてやらないと気が済まない感じですよ。ああ、散々殴られ、足腰立たない状態にまで追い込まれていた鳴海君ですが、(良い意味で)全然同情できない!お願い神様、どうか彩夏さんに特別のご高配を!

と、テンション高めなんですが、事件の解決法に関しては正直ちょっと微妙でした。
過去と現在を結ぶ重要な事件だったので、あの結末には少々拍子抜けかなと。ネットの力と探偵助手の行動に頼るしかないのは分かるんだけど、推測が多すぎるのがなんともね。でも、まぁ、それ以上に愉快なニート達の日常が戻ってきたのだから良しとしましょうか。それにしてもアリスの講釈を聞いていると、不思議とドクターペッパーが飲みたくなるから面白い。小さい頃に「薬みたい」という感想を抱いて以来、口にすることもなかったこの飲み物、実は『神様のメモ帳』に触れて以降普通に飲めるようになっているのです。これは大人になった証拠?
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:58 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

彼女は待っている。『θ(シータ)11番ホームの妖精』

θ―11番ホームの妖精 (電撃文庫 と 10-1)
θ―11番ホームの妖精 (電撃文庫 と 10-1)
籘真 千歳
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東京の上空2200メートルに浮かぶ、幻の東京駅11番ホーム。そこでは妖精のような少女と、言葉を解する狼と、ちょっとドジなAIが毎日の鉄道業務をこなしている。普段は貨物の引き継ぎがほとんどで、ホームに降りる人の姿はあまり見かけないこの駅。希に誰かがやって来たかと思えば、大抵それは「事件」の始まりで――

例えば思い入れのある事柄や、本当に大好きなテーマなどを書きつづった作品には、結構良作が多いと思うんですよね。何かしら突き抜けたものがある、といいますか。もちろん迷作に出会ったりもするんですが、この物語は見事に「良い作品」でした。

最初の出だし部分はちょっと強引展開かな……と感じたものの、主人公であるT.Bの正体が明らかになったところで一気に物語に引き込まれました。なにしろ彼女の心情が熱い。理由が単純明快なだけに、その想いもダイレクトに伝わってくるかのよう。戦場で兵士達が交わすような合い言葉を胸に、たった一人で残酷な現実と戦い続ける少女の姿がなんともせつなくて、頼もしい。かなり惚れました。それを支える義経の男気もね、またこれが熱いんだよなぁ。

物語全体的に見て、話の流れはやや暗め。しかし、それをそうと感じさせない作風が何とも心地良いです。少しきな臭い部分もあるけど、キャラクターの個性が強いのでそれほど気にはなりませんでした。作者のSFに対する並々ならぬ愛情が感じられる作品。所々で伏線が張られていたということは続編もあるんでしょうかね。楽しみ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - |

嵐の中で。『スプライトシュピーゲルIV』

スプライトシュピーゲルIV  テンペスト (富士見ファンタジア文庫 136-11)
スプライトシュピーゲルIV テンペスト (富士見ファンタジア文庫 136-11)
冲方 丁
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民族大虐殺の引き金を引いた人物が、国際戦犯法廷によってその罪を裁かれることとなった。舞台となるのはミリオポリス第22区にある国連都市。アゲハ・ツバメ・ヒビナ――羽を持つ3人の少女達に下された命令は、その法廷に立つ予定の被告人と7人の証言者達の命を守ることだった。だが、悪意に満ちた者達と、憎しみに満ちた者達の手によって、法の場は未曾有の嵐に襲われることに……

うっは。
ヒビナの言葉を借りれば「すんげードキドキするっしょ――ッ!」的なアレですよ。とにかくもう、彼女たちの戦いにも結末が見え始めたからか、これでもかと押し寄せてくる戦闘・戦闘・大戦闘がすごい。素直にすごい。息つく暇もないというか、ページをめくる指先がもどかしいというか、このシリーズを読み始めて以来最高の出来でした。

オイレンも面白かったんだけど、僕的にはやはりこちらの方が好きなのかなと。特に今回は、証人達とアゲハ達の『世界統一ゲーム』のシーン、手始めにあそこで見事に引き込まれてしまいました。絶対に上手くいきそうもない途中経過が、見事に穏やかな収束へと向かっていく様が読んでいて気持ちいいんですよね。世界の情勢を左右するのは、なにも国力とか戦力とか、そういうのじゃなくて、結局はどれだけその流れに関わろうとしたかが重要なんだということを暗示しているようで楽しめました。

そしてハロルド。
とにかく1にハロルド、2にハロルド、3・4がなくて5にレイバース捜査官ってぐらいに彼に萌えました。ここまで男萌えさせられるキャラもなかなかいません。彼のとる行動の一つ一つが、彼の話す言葉の一つ一つが、重い。一生に一回ぐらいはそんな台詞言ってみたいなーなんてレベルじゃなくて、うおおぉぉッ!俺もFBI入りますーッ!てなぐらいに惚れてしまいました。よし、僕も明日からは嫌な同僚にもミスターを付けて呼ぶことにしよう。

今回は、今まで負ってきた数々の傷を癒すための中編的作品が最初に挿入され、本編はその後始まるという構成。かなーり分厚いんですけど、読み始めたらあっという間でした。オイレンシュピーゲル肆の方と密接にリンクしているので、そこのところの繋がりも楽しめるかなと。特に涼月……ちょーかっこいいです。MSS&MPBの6人の少女達に痺れっぱなしです。あとハロルド・レイバース氏にもね。次のエピソードで彼女たちの話は完結するようなので、ちょっと寂しい気分に。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 22:23 | comments(0) | trackbacks(1) | - |

真実の翼。『オイレンシュピーゲル肆』

オイレンシュピーゲル肆  Wag The Dog (角川スニーカー文庫 200-4)
オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (角川スニーカー文庫 200-4)
冲方 丁
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テロ情報を事前に察知していたMPBは、涼月ら遊撃小隊とミハエル中隊長の部隊を空港敷地内へ展開させていた。そこへ飛び込んでくるハイジャック発生の知らせ。駐機中の旅客機が中東系のテロリストに乗っ取られたのだという。勇んで出動するMPBの面々だったが、そこへ国籍不明の戦闘機が突如飛来してきて……

とりあえず、いつにも増してこっ恥ずかしい涼月と吹雪のやり取りに赤面。なんなんだこの純粋なのか進んでいるのか分からない関係は、と悩まされつつも今回は吹雪の格好いい告白を聞けたのでまぁ良し。この段階を踏んで近付きつつある二人の関係がまたね、心温まるんですよ。しかも涼月の乙女っぷりの微笑ましさときたら(笑)

おまけに、今回はミハエル中隊長に加え、謎の男パトリックや、特憲のフランク隊長らナイスミドル要員が多数登場。あー一生に一度でいいからこういうの言ってみたいなー的な渋い台詞が随所にちりばめられているので辛抱堪まりません。分かる人にしか分からないんだろうけど、なんとなく犬狼伝説でのケルベロスと空港警察との確執シーンが思い浮かんでしまって思わずニヤリと。たぶん、気のせいではないと思うんですよね。

そしてこの物語、凄惨な戦闘はいつものことなんですけど、今回の夕霧の戦いがまた輪をかけて凄まじい。死闘に継ぐ死闘なわけで。軍から脱走した特甲児童のエピソードも、これまたすごくて、彼らが過去に受けてきた仕打ちや、これまでに行ってきた行為を想像すると心が痛むんですよね。誇張でもなんでもなくて、実際の国家や事件をモチーフにしている辺りが、もう、全く容赦がないと言いますか。まぁ、今回も色々な意味でぶっちぎりなのは間違いなし。ラストでのMSSの特甲児童との共闘が実現し、アドレナリン全開のノリをこれでもかと読ませてくれたのでかなり楽しめました。シュピーゲルの方も早く読みたいんですが、如何せん仕事が……
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 21:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - |

あの日の背中に… 『世界平和は一家団欒のあとに4』

世界平和は一家団欒のあとに 4 (4) (電撃文庫 は 9-4)
世界平和は一家団欒のあとに 4 (4) (電撃文庫 は 9-4)
橋本 和也
JUGEMテーマ:読書

ある朝起きたら、彩姉ぇがどういうわけだか小さくなっていた。なにやら魔力によるものらしいのだが、魔法の力を信じ切っている母さんは事態をノンキに喜ぶばかりだ。確かにいつもクールに決めている彩姉ぇと比べるとこれは可愛い、可愛いのだが、このままでいいのだろうか。原因を探っていくうちに、事態は姉さんの過去の出来事へと繋がっていって……

世界の平和維持を押し付けられた星弓一家の物語。作者は第13回電撃小説大賞〈金賞〉を受賞した橋本和也先生。本作品はその受賞作の第4作目にあたる。

謳い文句に偽りなし。まずは彩美姉さんの可愛さに身もだえしました。彼女の出番はいつ来るのだろうかと以前書いていたわけですけど、まさにこの展開は範疇外。クールビューティーな彼女の活躍を想像していただけに、完全にぶちかまされてしまいました。いやほんと可愛いなぁ彩姉ぇ。

今回のテーマは姉弟愛ということで、彼女と軋人が中心の話となっているわけですが、その会話の内容が微笑ましいことこの上ない。本当にこの作者さんはそこのところが上手いんだろうなと思う次第で。どうしようもないほど不器用な姉と、そんな姉を愛してやまない弟の物語が、もうね、もろにストライクなんですよ。それと同時並行で進んでいく過去の物語も興味を引き付けるんですが、それ以上に見せてくれます、美しい姉弟愛ってやつを。

前回あれだけ頑張っていたお父さんが、今回はあまりにも小さい扱いなのには同情を覚えますけど、まぁ、それはそれとして。毎回毎回、心を熱くしてくれる展開と結末。4度目のラストは、それに加えて読んでいるこっちがこっぱずかしくなるほどの告白が待ち受けていました。あれには南ちゃんだってびっくりです。いやぁ、ハッピーエンドって――本当に素晴らしいですね!
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 14:47 | comments(0) | trackbacks(1) | - |

失われた場所へ。『モーフィアスの教室 2』

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和葉からのメールが途絶えてもう10日になる。学校でのイジメが原因で不登校になってしまった妹は、今頃、祖父の家に預けられて新しい学校生活を始めているはずだった。年を重ねるごとに疎遠になりがちだった兄妹の絆は、この出来事のお陰で大分回復したような気がする。だからメールも毎日欠かさずやり取りをしていたのだ。それだというのに、突然の音信不通。母は昨日も電話で話したから大丈夫だと言うが、何故かその様子はどこか不自然で……

現実世界へ生まれ出でるために人の魂を喰らう化け物「夢神」。その唯一の対抗手段である黒い鍵、モーフィアスを手に戦う少年少女の姿を描く。作者は三上延先生。レーベルは電撃文庫。

なぜこの人の作品は面白いのだろうかと考えてみる。失礼ではあるけど、文体にそれほど特徴があるわけでもないし、人の目を惹くような強烈なキャラクターというのも登場しない。話の展開もやや地味で、超展開とは無縁の手堅さだ。だと言うのに、面白い。いや、書いててホント失礼だなこの文章。でもまぁ、人にもよるんでしょうかね、好き嫌いが別れるところなのかなと。僕は好きなんですよね、この人の創り出すお話が。

やっぱりストーリーなのかな。曖昧な描写はないし、さり気なくちりばめられた伏線が回収されていく様子は読んでいて気持ち良い。キャラクターも等身大に描かれていて、鮮烈な印象はないものの、その分だけ親近感を抱くことが出来るんですよね。特に、綾乃がお気に入り。かなりのツンデレなんだけど、自身がそれを理解していない辺りがまた良いんだわ。頼りない主人公とセットで楽しめます。そして、第一作ではさほど前に出てこなかった直人の妹、「ロボ子」こと水穂の存在感もぐーんと急上昇。彼女の言葉は一言一言が重いから楽しいんです。ただ、今回の結末はややきつめかな。作品全体の爽やかな雰囲気に護られてか、不思議と後味の悪さは感じないのが唯一の救いなんですが、よくよく考えてみると壮絶なストーリーだったんじゃないかと。……やや、今回も十分楽しめました。次巻も買いですよ、これは。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 20:20 | comments(0) | trackbacks(0) | - |

カブと君と。『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。』

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あらすじは書きません。いや、メンドクサイのではなくてですね、こう、書いてしまうとこの作品の面白さが目減りしてしまうような気がするわけでして。どうせ、表紙の折り返しを読めば分かってしまうことなんですが、実は僕は、この本を何気なく購入した際、あまりにも何気なくマイ・ブックカバーを掛けてしまったことから、巻頭のカラーページまで表紙と一緒にカバーしてしまい、全く予備知識を得ないままに読み出したんですよね。すると、まぁ、この世界の秘密が何とも面白く感じられてしまいまして。もしも読み出す前にあらすじを読んでいたら、こんな気持ちは味わうこともなかったのかなと。

良い作品ならば、たとえあらすじを知っていたとしても面白いよ……と、言われたりもしますが、やはり面白さが増すのならばコレもありなのではなかろうかと世界の片隅でヒソヒソと自己主張してみたり。まあ、汚い表現になってしまいますが、本書の雰囲気だけを手っ取り早く説明すると、『塩の街』と『キノの旅』と、それと『最終兵器彼女』の後半辺りを足して3で割ってストロベリー風味に仕立て上げたモノ、とでも申しましょうか。何とも下品な言い表し方ですねゴメンナサイ。

日本が誇るスーパーメカ、「スーパーカブ」に跨り、滅び行く世界を旅する少年少女の物語。作者は本作がデビュー作の萬屋直人さん。レーベルは電撃文庫。

冒頭で書きたいことは書いてしまったので、物語の感想に関しては手短に。
僕は少年少女が力を合わせるというシチュエーションに死ぬほど弱いという属性を持っているものの、その色眼鏡を外して読んでみたところで、さほど面白さに差違は感じないんじゃないかと思わせてくれました。派手な物語ではないかもしれないけど、静かな世界観の中で、文字通りの「少年と少女」が必死に生きようとする様は十分に伝わった感じ。それが、悲壮感を以て語られるのではなく、その世界観に生きる登場人物達の全てを使って表されていたのが、もうね、まるっと好みですよ。最後に主人公達が教えてくれた日記の秘密も胸を暖かくしてくれましたし。

願わくば、少年少女の旅先に幸多からんことを!
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 15:43 | comments(0) | trackbacks(4) | - |

翼の折れた鳥は。『さよならピアノソナタ 2』

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ピアノを弾くことが出来ない天才ピアニスト、蛯沢真冬。色々紆余曲折はあったものの、無事に彼女をロックバンドのメンバーとして迎えることが出来た。民族音楽研究部はこれで部員4名。無事に部活動として認められたわけだけれども、何故だろう、4人の音がどうしても合わない。神楽坂先輩はいつの間にか合宿の準備を進めており、夏休みに入ったらどうやら海へ行くことになりそうだ。それも顧問の先生抜きの、女三人に男一人という割合で。だけど肝心の真冬は気が進まないらしく――

おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織りなすボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーの第二弾。作者は杉井光先生。レーベルは電撃文庫。

恐らくは史上最強の鈍感野郎です。ええ、きっと。現実にこんな主人公がいたら、子孫など残すことなく生涯を終えることでしょうよ。全くそうに決まっています。……別に嫉妬しているわけではありませんよ。そんな、まさか。この目から滴り落ちるものは涙なんかじゃありませんから。多分これは……心の汗です。あぁそれと、あれほど真冬からも、千晶からも、神楽坂先輩からも!(絶叫)度重なるモーションを掛けられているというのに、すべてスルーしてくれるナオ君にはもっと天罰を下してもいいんじゃないかなと思いますよ神様。主に肉体言語によって。

……とまあ、妄言はここまで。
相変わらず杉井先生の手法が光る作品でした。特に、主人公の視点で語られるストーリーのもどかしさには毎度のことながら一喜一憂させられます。先生の作品は『神様のメモ帳』から読んでいるんですが、必ずと言っていいほど登場するのが、「主人公自らにこれから起きる出来事の暗示を語らせる」という手法。これが目に飛び込んできたら要注意。間違いなく、読み手を暗鬱とさせる展開がその先に待ち受けています。ああ、来たか……と覚悟させられる訳なんですが、やはりそれを乗り越えてこそ面白い物語が生まれるわけでして。

特に、障害が起きてしまったことに対する解決が、単なる偶然や、無作為な主人公の努力によって成されるのではなく、きちんと張られた伏線によって、自然と飴玉が溶けていくように提示されていくのがステキ。それも、主人公の手によってしっかりと。ちゃんと考えて書かれているんだなぁという不思議な安心感を与えてくれるんですよね。あと、計算し尽くしたかのように、ダメな台詞しか言わないナオの父親なんかも好き。

今回の話で四人の気持ちが色々明らかにされてきた訳なんですけど、真冬や千晶、そして神楽坂先輩の想いにナオが気が付くのはいつの事になるのやら。あと、次回作はちゃんとでるんでしょうか。神様のメモ帳も2巻で止まっているしなぁ……色々と心配事が……
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 20:30 | comments(2) | trackbacks(4) | - |