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2008.12.31 Wednesday
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コミケのこととか。
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さーて、今何時かな、と時計を見てみたらとんでもない時間だったことにまず衝撃を受けています。明日(というか今日)は仕事で夜勤なんですけどね。3時間かぁ……寝る意味あるかな? 思い切ってこのまま突っ走ってみようかな? と冒険心を剥き出しにしてみるも、やはり機械じゃなく人間なので少しでも寝られるのであれば寝てからお仕事に行こうと思います。
その前にすこしコミケの話を。
今回は2日目のみ参加してきた訳なんですが、これがどうも、例年に比べて随分と空いているなぁ、という印象を受けました。夏の時は10時ぐらいにえっちらおっちら出かけていって、入場できたのが1時過ぎ。ところが今回は9時に出かけて11時前に入場出来てしまいました。2時間弱と3時間強の差は大きいと思うのですよ。しかも「ゆりかもめ」も新橋駅から余裕で座席に座れる。会場に入っても、人混みの濁流にのまれることもない。まぁ、意図的にそういうところは避けているつもりなんですが、それを加味したとしても少ないんじゃないかなぁと。もしかして、これは不況の所為? だとしたら世知辛い世の中になったなぁ。幸いにして働き口はあるわけだけど、人ごとではないので、そういうことを考えると結構凹む。
そんなこんなの冬コミですが、今回も同人ゲームの記事をコツコツ書いていきたいと思います。完成版・体験版合わせて全52作品、結構な購入数となりました。基本的に大手のサークルさんや、18禁を大々的に売りにしている作品等は外しており、どちらかといえば、小規模(っぽい)サークルさんをメインに集めています。細かな傾向としては、売り子さんがあまり他人に興味なさげで、盤面プリントなし(真っ白)のディスクを無造作に机に並べていて、題名はおろか内容すら分からないような、「内容はどんな感じですか」と聞いても「ノベルゲームです」としか返してくれないサークルさんほど即決で購入するきらいがあるようです、自分。まあ、生温い目で見守ってください。それと、元旦あたりに「お知らせ」があるかも知れないので、誰が読んでくれるかも分からないですが一応さらりと告知しておきます。いや、こちらもゲーム関係です。但し、身内事ですが。
それでは今年最後の日、精一杯働いてきます!
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2008.12.28 Sunday
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『かんなぎ』第13話
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
仁は立ち直り早いなぁ。元々の単純な性格がそうさせたのか、それとも幼馴染みの力によるものかは曖昧だけど、前回から続いていた、暗い灰色の風景があっという間に晴れ模様に。上森シゲさんの若い頃の話には少々うるっときた。大変な時期を生きた人の話はどうしても重く受け止めてしまうんだよなぁ。ちょっと展開早すぎて戸惑ったけど。いや、戸惑ったのは仁も一緒か。川岸のシーンがとても昼メロっぽくて苦笑。なぜナギの服があんなにも黒いのかと思ったら、なるほど、シゲさんは旅立たれていたというわけですね。合掌。
どこら辺で仁がデレていたのかと考えてみると、つぐみに説得されてナギを探し始めたところ? それとも川岸でナギの全てを受け入れると言い切ったあのシーン? それとも手を握ったところ? いやいや、家に戻った後ナギにときめいてしまうあの瞬間? デレるという行為の定義の難しさを改めて思い知らされた感じ。というかデレたのはナギの方だったような気がするんですが。最後は思いっきりベタな展開に嵌って目のやり場に困った……。そしてつぐみさんは最後まで浮かばれないと、そういうオチですか。作品全体としては、非常にアンバランスな作りだったんだけど、ベタな展開と「何か」を組み合わせて新しいものを作ろうという意気込みだけは伝わってきたような気はします。ただ残念なのは、その「何か」が今ひとつはっきりしなかったことでしょうか。全てを曖昧なままに終わらせたということは、続編の企画もあるのかな? とにかく、スタッフの皆さんお疲れ様でした。
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2008.12.25 Thursday
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『とらドラ!』第13話
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
亜美さんの目立ちたがりな性格が、よもやあそこまで深刻化していたとは。過激なボンテージ衣装に身を包んでのあのドS発言、ちょっとドン引きです。文化祭が一段落付いてもなお、盛り下がることを知らないハイテンションを持ち合わせていた若人たちがあの場を占めていたからこそ成功したようなもので。オマケにコンテストの出場者が揃いも揃ってメイドさん。世も末だ……いや可愛いから良いけど。
娘との約束を反故にしたばかりか、謝罪もせずに、後始末を竜司に押しつけて逃げた陸郎には嫌な感情しか思い浮かばないなぁ。今では生活に欠かせないものとなっている携帯のメール機能だけど、こういう場面で使われるとひどく理不尽に映る。せめて大河に直接電話を、それがダメなら直接メールを送ればいいのに。ちょっと、って理由がまたね、人の神経を逆撫でするんですよね。
そして突然幕を開けた福男コンテスト。恐らくどこぞの神社の新年イベントをパクったものなんだろうけど、本家に負けず劣らず熱いなぁ。竜司の覚悟も半端じゃなかったけど、性別の差を超えてグラウンドに躍り出た櫛枝さんは更に漢を上げた感が。いや、そっち方面ではなくてですね、もっと女性らしい面を見せて欲しいのですが……まぁいいか。渾身の一投は見ていて清々しかったし。後夜祭での気持ちの交錯は一体どこへ行くのやら、まるで予想が付かないなぁ。えーと、大河は北村君が好きなんだけど、微妙に竜司にも気持ちが向いていたり、櫛枝さんは女性しか愛せない疑惑が浮上したり、亜美さんがかなりのドSだったり、北村君は生徒会長になにかモヤモヤとしたものを抱いていたみたいだし、春日は……どうでもいいか、モルグから生還したゆり先生も……生徒と交流が深められて良かったんじゃない? とにかく結局、殆どの人達の想いがどこへ向いているのか曖昧なまま、次回は新年へというわけですか。
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2008.12.23 Tuesday
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『喰霊-零-』第12話
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
戦闘によって多くの人員を失い、組織としての体を保つことが困難になったことで、ようやく防衛省と環境省が手を結べたというのは何とも皮肉。でも、やられ役だった特戦隊の人達も、ようやくこれで報われたような気がする。隊長さん、良い味出してたなぁ。まあ、結局最後までやられ役だったわけですけどね。そうこうしている内に真打ち登場。喰霊を継承した神楽は、父からの意思を受け継いだだけあって、今までとはひと味違う強さが。新しい退魔刀が何ともベルカ式で、その洗練されたギミックと練りに練られた殺陣とが相まって黄泉との対決は目が釘付け。日常パートだろうが戦闘だろうが一切手を抜かないスタッフさん達の姿勢には頭が下がります。
2人の運命的な対決の前後に黄泉と神楽それぞれの心の葛藤を描いて、もう一戦、という構図。自分の感情がどんどん肥大していくことに苦しみ、散々思い悩んでおきながら、神楽の前ではそんな素振りを微塵も感じさせなかった黄泉の強さが印象的。好きだから殺す、と本作の副題に導かれるようにして結論を出した神楽と、そんな黄泉との最後の対決は、交錯する想いがはっきりと読み取れて鳥肌が立ちました。大好きな貴女のために死ぬ、大好きな貴女のために殺す、これほどまでに残酷な2つのテーマを、これほどまでに美しく盛り上げてくれるとは。原作にあった彼女の寂しい時期というのは、この日から始まったということでしょうかね。深い悲しみで荒れ狂う神楽を遠目に眺めて語り合う、岩端&ナブーの言葉ががそれを暗示しているようでした。
そして舞台は2年後へ。なんと菖蒲&桐ちゃんが実は生きていたという事実がいきなり発覚。確かにOPの2人には白い羽がなかったもんなぁ。まさかのサプライズでした。重傷を負った桐ちゃんは、精神が退行してしまった結果、室長のことをお姉さんだと思いこむようになり必然的に、室長は室長で、そんな彼女のためにずっと側にいてあげるために、それぞれ対策室を去ったというわけですか。紀之も、ただ逃げたわけではなく、ちゃんと果たすことを果たした印象だったので良かった。でもあのチャラ具合はどうなのよ? そして本来の主人公である剣輔役には、何と桜庭一騎の中の人が。冒頭で特戦隊の隊長さんにお悔やみ申し上げられたり、最後は主役(!)をかっさらったりと、何だかんだで外見も中身もフォローが入るという優遇ぶり。どうかその一欠片だけでも特戦4課の人達に分けてあげてください……!
いやあ、何だかんだと感想を書いてきましたけど、この作品、素晴らしい出来でした。原作をアニメで表現するという難問に対して、一つの正解を導き出せたんじゃないかと。原作をよく理解して、或いは理解しようと努力して、どうすれば最高のラストが描き出せるのか、考え練られた末に導き出された結末がこれならば、間違いなく評価されて然るべき。本当に、この作品を作った監督以下スタッフの皆さんには感謝したいです。3ヶ月の間、お疲れ様でした。
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2008.12.22 Monday
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『劇場版 空の境界』第六章 忘却録音
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
観に行ってきました。
相変わらず人の熱気が劇場内に溢れかえっていて、冬だというのに蒸すことこの上なし。帰りはノンカロリ炭酸飲料で体内を冷却しつつ帰途につきました。新宿駅前の眩いイルミネーションを見て年の瀬を感じる今日この頃。地方なので当然深夜に帰宅。明日も働きますよー。
感想としてまず最初に来るのが、「かなりはっちゃけたなぁ」と。
滔々とした鮮花の独白から始まる原作とは違い、映画では彼女の可愛らしさというか、女の子らしさを前面に押し出した明るい調子で幕を開け、重苦しい雰囲気だった礼園女学院も、どこか風通しの良い側面を垣間見せる。そう、まるで、マリア様が見ていそうなあの感じ。水樹奈々さんの「とても良くてよ」は見事だったなぁ。式と鮮花が寮の部屋でナイフを巡ってもみ合うシーンとか、藤乃のこととか、原作のツボを掴んで明るく淀みのない物語に仕上げていたというのが素直な印象ですかね。ただ、限られた時間枠で全てを収めるために、ストーリーの整合性をある程度犠牲にしていて、それが心に引っかかる部分もあったり。でも、原作知らない人にとっては大したことでもないのかな。キャラに絞った作りと割り切れば楽しめるだろうし。
一番印象変わったのが、ゴドーワードこと玄霧皐月。かなり小物の魔術師に成り下がったなぁと。上映時間のことを考えれば仕方ないんだろうけど、これも評価が分かれそうな所でしょうかね。ただ、映画版の彼は、原作に比べて良くも悪くも人間らしくなっていた印象で、一時間という枠内で玄霧のことを描かなければならないのだったら、いっそのことこちらの方が丁度良かったのかなとも思ったりしました。要は制作側のさじ加減の問題なので、手堅く作ってる以上は気にするほどのことでもないのかもしれない。ラストも、全体の雰囲気に合わせた、後味の良い、爽やかな仕上がり。うん、これは気持ちよく帰れるなと思っていたら、EDの終了後に、獅子のなり損ない男が出てきて思い切りスプラッター。あまりの落差に思わず血の気が引いてしまいました。やはり、これが空の境界か……。次章でいよいよ映画版も完結、時間枠に囚われず、最後はじっくりと式と幹也のやり取りを描いて欲しいものです。
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2008.12.20 Saturday
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『かんなぎ』第12話
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
全体に漂う灰色の雰囲気が、何とも気持ちを盛り下げてくれるなぁ。結局ナギが仁の前から姿を消したまま、特に手がかりやきっかけもなく次回へという最後。一体かんなぎって何なんでしょうかね? 昔の文書は消失し、今まで神社を管理していた人も何も知らない。唯一の生き証人らしいおばあちゃんもあの調子で、何が何やらサッパリ。最終回でフォローが入るのかどうか気になるところです。
それにしても仁のウジウジしたところが気に入らないなぁ。性格なのは分かっているんだけど、今回のことを些細な口げんかとしか思っていなかったり、置き手紙を見ても悩むだけだったりと、やることなすこと青すぎて観ているこっちがハラハラしてくる。アレはすぐに飛び出して追いかけるところですよ? そして、探しに出たら出たで、あいにくの雨。どこまでも灰色は続く……。そりゃあ、気持ちも落ち込むのは仕方ないけど、つぐみの電話にすら出ないのは正直最低じゃないかなと思うわけで。しかもかなりナギのことを諦めている様子。最終回に向けて、物語の調子をグンと下げてきた感じです。これで次週は思い切り飛び抜けたものが見られると良いのですが。仁、デレるのかぁ……。
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2008.12.18 Thursday
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『とらドラ!』第12話
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
いつもはまとまりのないクラスでも、何故か一丸となって夢中になれてしまう文化祭のあの不思議な空気は嫌いじゃないけど、でもあの劇だしなぁ。きっと大人になって振り返ってみたら、大層恥ずかしい思いをするに違いない。まあ、今が輝いていればいいのかな。確かに櫛枝さんの頭は光り輝いていたし。いいの、かなぁ……。色々な意味で衝撃的かつ刺激的なプロレスショー。亜美さん主演、大河が悪役、という時点で十分にサプライズだろうに、丹下段平が児玉清に変わるあの瞬間がすべてをさらっていってしまいました。結構、なのでしょうか。ゆり先生の大事な大事な赤い糸を断ち切る演出や、飛び込み出演を果たした彼女をモルグにぶち込んでしまう采配、そしてかなり電波な立ち回りを思いつく、春田の才能には畏敬の念を抱かざるを得ない。将来はとんでもない天才的演出家になるか、あるいは壮絶な勘違い男として相手にされないか、どちらかしかない気がするけど。とてつもなく紙一重だなぁ……。
自分の父親に好かれるように、或いは嫌な気分にさせないよう気を回す大河。竜児同様に、その姿に親子の絆を信じて淡い希望を抱きそうになったけど、櫛枝さんのいつもとは違う感情的な言葉で一気に引き戻されました。残酷だけど、彼女は正しいことをしようとしたんだろうなぁ。竜児だって正しいと思って行動している訳だから、大河の言うとおり、良いも悪いもなくてどうにもモヤモヤ。これがいわゆる青春ってやつなのか。そして亜美さんはフォローうますぎ。絶対一歩どころか二歩三歩先を歩いているって。言われてみれば確かに、一番変わったのは彼女だろうなぁ。持ち上げられたい性格はそのまんまだけど、言葉の端々に他人を気遣う様子が見られたのは印象的でした。娘の文化祭に必ず行くと約束しておいて、それをすっぽかす親にろくな奴はいない。このまま行けば間違いなく大河にとって最悪な結果が待っていそうなので、何とか軟着陸を期待したいところだけど、果たして竜児は男を見せてくれるんでしょうか。あと櫛枝さんにはぜひ女性らしいところを見せていただきたい……!
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2008.12.17 Wednesday
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『喰霊-零-』第11話
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ
もう、とにかく戦いの「動き」に目が惹きつけられっぱなしの回でした。冒頭の黄泉と雅楽の対決、目まぐるしく飛び回る黄泉もすごかったけど、白叡を背負いつつ鎖で防いで攻勢に打って出る雅楽の行動は、並の演出では表現できないと思うわけですよ。二階堂女史の初の実戦での姿にも感動。腰に巻かれたガンベルト風味の出で立ちが何とも勇ましい。そして、何より度肝をぬいてくれたのが、我らが室長、神宮司菖蒲さん。車椅子がまさか退魔武器だったとは。第1話で、今は亡き特戦4課の春日さんが見せてくれたバイクアクションに通ずるものがあるけど、明らかにこちらの方が色々な意味で格上。黄泉の大腿部に傷を負わせ、しかもそこから拳を叩き込む衝撃的なシーンは思わず見返してしまいました。オマケに義足を外せば、そこにはバルカン砲。サイボーグ009のハインリッヒを思い起こすなぁ。
そんな人々を前にしても、ダメージを寄せ付けない諫山黄泉。強いんだろうなぁ。第1話で特戦4課が皆殺しにされたのも、彼女の強さを印象付ける意味合いがあったみたいだけど、今回のことでますますその強さに磨きがかかった気が。それとひきかえ、神楽の和みぶりがなぁ…。父が瀕死とはいえ、ナブーや二階堂さんや室長が次々と殉職する場面を挟まれると、どうしてももどかしい気分になるんですよね。それでも雅楽が、娘に対して初めて胸の内をさらけ出す部分には、否応なく引き込まれてしまいましたが。遂に神楽が白叡を継承して、次週は黄泉と対決、ということになるんでしょうね。防衛省の特殊部隊は事実上壊滅、環境省対策局も刀折れ矢尽き状態。最早彼女の後ろ盾となるものは何もなし。様々な人々の想いを砕いた黄泉に対して、覚悟を決めた神楽はどのような戦いを見せてくれるのでしょうか。期待したいです。
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2008.12.15 Monday
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鳥に願いを。『さよならピアノソナタ4』
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JUGEMテーマ:読書
そして冬がやってきた。文化祭のライブで真冬との距離を縮めることはできたけど、あれから一週間、未だに彼女との関係は曖昧なままだ。まず頭を悩ませるのが、プレゼント。今月は彼女の誕生日なのだ。そして、その先にはクリスマスというイベントも待ちかまえている。丁度、24日に開かれるクリスマス・ライブのことを知った僕は、どうにかして真冬を誘おうとするのだけど……。
2ヶ月遅れで女の子に誕生日プレゼントを渡したナオの鈍感ぶりにはもう笑うほかないなぁ。でも、彼の行動がこれだけに止まらないというのが本作品の特徴でもあるわけで。正直、その後のプレゼントが巻き起こす一波乱には奥歯を噛みしめすぎてハグキから血が出るかと思いました。何故? とは問うまい。最早、それがナオだから、としか言いようがないから。千晶うかばれないよぅ。
今回は完結編、ということで様々なことに決着が付きました。音楽のこととか、恋のこととか、色々。そんな中でも、神楽坂先輩の告白と本音の吐露は、正直ショック。いや、恐怖? なんだろ、一瞬凄まじい女性の嫉妬を感じたような気がしたんですが。その後の感情をコントロールした立ち振る舞いで、彼女の器の大きさを改めて思い知りました。しかも、その口から語られる革命論が妙に説得力があるから恐ろしい。よもやそこから子作りという命題にまで飛ぶとは。彼女は最後まで神楽坂響子であったんだなぁと。
一年間をかけてなお、実らなかった恋。でもそれが、更に1年かけて花を咲かせるというラストには、素直に魅入ってしまいました。最後の、駅で2人が手を繋いで鳥の群れを見送るシーンは良かったなぁ。飛び立った鳥は二度と帰ってはこないけど、でも、その空をいく姿は独りじゃない。様々な障害を乗り越えて、二人の愛を掴む――なんて書いていて恥ずかしい文章なんだろうとも思ったけど、ともすればチープになりがちなこの手の物語を、曖昧に濁すことなく、堂々と正面から書ききった杉井先生に感謝です。
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2008.12.14 Sunday
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ヒーローは年中無休。『世界平和は一家団欒のあとに6』
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JUGEMテーマ:読書
どんな大災厄にだってきっかけというものがある。凶悪な犯罪者にだって、地球を攻める侵略計画にだって、悪の組織の誕生にだって、邪神の復活にだって、まだ若芽の段階というものがあって、それが後々……というわけで。いつも大事件にばかり関わっているように見える星弓一家だけど、実は、そんな厄災の卵とも言うべき出来事にもちゃんと巻き込まれていたのです。シリーズ初の短編集。
『悪党退治は何カロリー?』
平和のために戦ってダイエットもしちゃおう! というお話。美智乃に対する軋人の兄バカぶりが読んでいて楽しかったです。ベタだけど、妹を助けるために参上する兄貴ってちょー格好いい。世界を守る高尚な使命も、星弓家ではこのくらいの気概で臨んでいますという良い見本。
『星の王子様』
七美お姉様の領分だったためか、あまり表だって出てくることのなかった宇宙人に関するお話。結構身近な社会問題から、惑星間の外交問題というのは発展していってしまうみたいです。そんな中での香奈子の心優しさが身にしみる。読者の想像力に委ねる部分が多かったのも面白かったです。
『刃の行方』
あまり凡人の出る幕が少ない本作品にあって、初めて、じゃないかなと思う普通の少年のお話。軋人のお祖父さんだって普通の人間だけど、どちらかと言えば例外的な扱いだし。力なき者の強い決意が、正義のヒーローを翻弄する場面は燃える。
『大邪神の夜』
彩美&七美お姉様コンビによる伝奇的事件簿。どうやら彩美と竜助のその後は上手くいっているようです。学園ものとか、伝奇とか、湯けむりとか、果ては百合な要素まで少しずつ詰め込んであって、若干ギュウギュウな感が否めないけど、2人の過去が垣間見えて面白い。そして、やはり七美さんは最強。
初めての短編集。長編では描かれないような星弓家のささやかな日常が描かれるのかなと思ったら、サブタイトルのとおり大事件の合間も皆さん大忙しだったようです。もう少し日常の何気ない星弓家というのも読んでみたかったんだけどなぁ……。まぁ、これはこれで。一番のお気に入りは、軋人と美智乃の何だかんだといって深い絆を感じさせてくれた第1編目。巻末にオマケ掌編も収録されているのですが、超カオスです。
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