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しあわせのある風景。『桜田家のヒミツ』

桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫 か 15-1)
桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫 か 15-1)
柏葉 空十郎
JUGEMテーマ:読書

妻と小学生の子を持つ源之助は、今時珍しい頑固オヤジ。職業は、世界征服を企む「地獄十字軍」の戦闘員だ。組織の命令に従って悪事を働くわけなのだが、正義のヒーローによる容赦ない制裁のお陰で最近は命の危険に晒されてばかり。しかも下っ端の仕事は他にもあって、42歳の男厄年を迎えた身としては結構辛い。そんな彼の元へ、誘拐した資産家の娘を預かるという重要な任務が下された。実はこのお嬢様、とんでもない性格の持ち主で――

悪・即・爆!という正義のヒーロー達には笑った。そういえば昔の戦隊物では「爆破」的な演出も結構あったような気がするなぁ。今はどうか分かりませんが。黄色はデブでカレー好き、というのは最早神話に近い絶滅危惧種。イケメンが絶対条件の現在の戦隊物では見ることの出来ないキャラクターですね。まぁ、逮捕されちゃうんですが。

個人的には源太郎と麗華の掛け合いがツボ。他人のことなんて考えられない身勝手お嬢様の麗華が、桜田一家の人情に感化されていって、やがて自ら進んで源太郎の手を取ろうとするまでの過程がね、もう、大好きです。パッと見は「戦隊物に出てくる戦闘員にスポットを当てる」ことで意外性を持たせた作品のように見えますが、今では風化寸前の「頑固オヤジのいる家庭」を描いて、それを人情風味に仕立て上げた事の方が実は結構ウェイト重いのではないかと。

ただし、作風に関してはちょっと……というのが正直なところ。やたらと台詞の間に説明が入るし、組織・設定・人物に関しても投げっぱなしな部分が多いんですよね。でも、逆に言えば、それは読者に対して分かりやすいよう心がけた賜物でしょうし、設定等に関しても物語をリアルに演出しようとした結果なんだと思います。更に言えば、それを考慮しても面白かったんですから、これはストーリーの一人勝ちかなと。身も蓋もありませんが、やっぱりラストは幸せな風景が一番。続編はなさそうだけど、源太郎と麗華のその後の物語が気になりますね。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 19:44 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

ここが、僕たちの居場所。『神様のメモ帳 3』

神様のメモ帳 3 (3) (電撃文庫 す 9-8)
神様のメモ帳 3 (3) (電撃文庫 す 9-8)
杉井 光
JUGEMテーマ:読書

彩夏が帰ってきた。あの、おぞましい事件のことも、アリスのことも、街のニート達のことも、そして、僕のことも忘れて。取り敢えず園芸部の活動を再開してみたけれど、彩夏との間にはどことなくぎこちない空気が漂う。果たして、彼女の記憶がよみがえることはあるのだろうか。今はただ、奇跡を願うほかない。でも、神様はそんな僕たちの居場所すらも許してはくれなかったようで……

相変わらずニート達の活躍が光る物語です。もしも、全国のニートがこんな愉快人ばかりだったら、さぞかし日本は良い国になるんだろうなぁ……。いないかなぁ、特にアリスとかアリスとかアリスとか。少佐も楽しそうだけど。あ、テツ先輩だけはかんべんな!そしてヒロさんの現在の転がりこみ先は生々しすぎ。いいのか泡姫とか書いちゃって。そこで特訓とはいえ働いちゃう鳴海君の適応能力にもビックリです。ああ、いろんな意味で彼の将来が心配に……。

と、思・い・き・や。
終盤で彼の鈍感キャラッぷりが見事に炸裂していて悶えました。何なんだ、このもどかしさは。「さよならピアノソナタ」程ではないにせよ、痒い、痒いよッ!テツ先輩でなくとも一発お見舞いしてやらないと気が済まない感じですよ。ああ、散々殴られ、足腰立たない状態にまで追い込まれていた鳴海君ですが、(良い意味で)全然同情できない!お願い神様、どうか彩夏さんに特別のご高配を!

と、テンション高めなんですが、事件の解決法に関しては正直ちょっと微妙でした。
過去と現在を結ぶ重要な事件だったので、あの結末には少々拍子抜けかなと。ネットの力と探偵助手の行動に頼るしかないのは分かるんだけど、推測が多すぎるのがなんともね。でも、まぁ、それ以上に愉快なニート達の日常が戻ってきたのだから良しとしましょうか。それにしてもアリスの講釈を聞いていると、不思議とドクターペッパーが飲みたくなるから面白い。小さい頃に「薬みたい」という感想を抱いて以来、口にすることもなかったこの飲み物、実は『神様のメモ帳』に触れて以降普通に飲めるようになっているのです。これは大人になった証拠?
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:58 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

彼女は待っている。『θ(シータ)11番ホームの妖精』

θ―11番ホームの妖精 (電撃文庫 と 10-1)
θ―11番ホームの妖精 (電撃文庫 と 10-1)
籘真 千歳
JUGEMテーマ:読書

東京の上空2200メートルに浮かぶ、幻の東京駅11番ホーム。そこでは妖精のような少女と、言葉を解する狼と、ちょっとドジなAIが毎日の鉄道業務をこなしている。普段は貨物の引き継ぎがほとんどで、ホームに降りる人の姿はあまり見かけないこの駅。希に誰かがやって来たかと思えば、大抵それは「事件」の始まりで――

例えば思い入れのある事柄や、本当に大好きなテーマなどを書きつづった作品には、結構良作が多いと思うんですよね。何かしら突き抜けたものがある、といいますか。もちろん迷作に出会ったりもするんですが、この物語は見事に「良い作品」でした。

最初の出だし部分はちょっと強引展開かな……と感じたものの、主人公であるT.Bの正体が明らかになったところで一気に物語に引き込まれました。なにしろ彼女の心情が熱い。理由が単純明快なだけに、その想いもダイレクトに伝わってくるかのよう。戦場で兵士達が交わすような合い言葉を胸に、たった一人で残酷な現実と戦い続ける少女の姿がなんともせつなくて、頼もしい。かなり惚れました。それを支える義経の男気もね、またこれが熱いんだよなぁ。

物語全体的に見て、話の流れはやや暗め。しかし、それをそうと感じさせない作風が何とも心地良いです。少しきな臭い部分もあるけど、キャラクターの個性が強いのでそれほど気にはなりませんでした。作者のSFに対する並々ならぬ愛情が感じられる作品。所々で伏線が張られていたということは続編もあるんでしょうかね。楽しみ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - |

『劇場版 空の境界』第四章 伽藍の洞

JUGEMテーマ:漫画/アニメ

相変わらず地方の人間には優しくない時間帯に観に行ってきました。まぁ、仕事のこともあるし、かえって夜の方が都合が良かったりするんですけどね。でも眠いよぅ……。

内容の感想に関しては「いまさら」的な事もあるので省略。いや、ちゃんと面白かったですよ。過去3作品を顧みるに、今さらユーフォーテーブルがとんでもない大脱線をする、なんてことはないだろうと思いますし。今回も安心して観ることが出来ました。

まぁ、敢えて言うのなら、目新しさに欠けるところが少々……。これは、原作を知っているが故に、原作に忠実なところがかえって仇になってしまってるのかなと。ただ、映像化されて面白みが増した部分も相当ありますし、所詮は贅沢な悩みなんでしょうね。新作を書き下ろして映画化してくれないかなぁ……などと思ったりしてしまうんですが。

兎にも角にも、実際に病院などを取材して、作品の完成度を高めようとしているスタッフ皆さんの意気込みには脱帽です。次章の「矛盾螺旋」は100分を越える長編になるとのことなので、ぜひとも見応えのある作品に仕上げて貰いたいなと。
posted by: よしきち | アニメ感想 | 02:38 | comments(0) | trackbacks(0) | - |