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2007.03.24 Saturday
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新海誠監督作品『秒速5センチメートル』
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秒速5センチメートル 通常版
離ればなれになってしまった少年と少女の切ない恋愛を描くアニメーション映画。3編の物語で構成されており、上映時間は60分。単館系映画館のみでの公開のため、渋谷にある渋谷シネマライズまで行ってきました。完全にお上りさん状態ですよ。
監督は、短編映画『ほしのこえ』や『雲のむこう、約束の場所』で知られる新海誠監督。そのほかにも音楽や作画などで前作からのおなじみの人が名を連ねており、新海作品の特徴である美しい背景や音楽、登場人物の独白などは健在。尺は短いがまとまりのある作品に仕上がっていた。
ただ、少々気になったのは、前作の『雲のむこう、約束の場所』に比べてクオリティが見劣りしたように感じたこと。演出上の理由で敢えてああいうタッチにしたのかもしれないが、よしきち的には気になってしまったところだ。
だが、それでもいい。いいよ。なんたって少年少女。
よしきちは少年少女が必死に頑張っている姿を見ているだけで涙腺が緩んでしまう人間なのである。特に、新海監督の作品は『ほしのこえ』の頃から大好きだったので、今回も素直に感動させてもらった。決してハッピーエンドというわけではないのだけれど、時間と距離の関係というものがこれほどまでに美しく昇華された作品は他にないんじゃないかなと。お勧めです。
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2007.03.21 Wednesday
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お、終わったぁ〜
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ひぐらしのなく頃に祭(通常版)
ようやく終わりました、ひぐらし。
総プレイ時間は約100時間。原作である同人ゲームは未プレイだけど、テレビアニメ版で罪滅ぼし編まで知っているので、その先が気になって購入。
いやー、面白かった。
どんなに過ちを重ねようとも、それでも運命に抗って戦おうとする少年少女に感動ですよ。つくづくよしきちは少年少女に弱いなぁと。
罪滅ぼし編までは少々ダレたところがあったけど、皆殺し編以降に進むと途端に面白くなってきてそこからは一気に読み進めてしまいました。仕事が終わったら、ご飯もそこそこにひぐらし。寝る間も惜しんでひぐらし。休日は朝から晩までひぐらしな生活を営んでおりましたですよ。いやいや、ダメ人間だな俺。
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2007.03.11 Sunday
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もっと高く!『竜と箒とひかりの彼方』
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竜と箒とひかりの彼方
富永 浩史
幼い頃に抱いた空への憧れ。
エリーナは今でもその夢を追い続けている。だが、この世界で空を飛ぶことが許されているのは翼を持つ者か魔法使いだけだ。しかも、魔法使いになるためには軍人としての訓練を受けなければならない。魔法士官学校へ入学した彼女は、あらためてその現実の厳しさというものを知ることになる。
空を飛ぶということの難しさ。同期である仲間との団結する難しさ。だが何よりも頭を悩ませたのは、飛行兵としては不向きな自身の体格だ。周囲の人間より一回りも大きい身長と胸は、どうやら魔法でもどうにもならないらしく……。
空を目指して頑張る少年少女達のファンタジー。作者は架空戦記物も手がける作家、富永浩史先生。レーベルはファミ通文庫。
幼い頃、何かむやみやたらと巨大なものに憧れていた時期があった。それがウルトラマンであったり、ゴジラであったり、或いは東京タワーやクジラ、戦艦などの実在するものであったりと、なんでもありの状態だったのだが、実は今でもその憧れが薄れたわけではない。
この作品の主人公が抱く気持ちは、それと驚くほど似ていると感じた。単なるちょいミリタリ混じりの学園物かと思って手を出したのだが、意外とエリーナの空に対する憧れが伝わってきて何やら考えさせられてしまったのですよ。大空に対する憧れは、飛行機のパイロットになるための大前提じゃないかと頷く自分。
さすが架空戦記も手がけている先生だけに、ファンタジーのなかにミリタリー要素が上手く織り交ぜられた作品だった。軍隊生活という側面を敢えて避けずに、軍人になった少年少女達の戸惑いを通して武力集団というものを描く面白さも垣間見ることができて新鮮味があった。ちょっと自衛隊っぽいネ。
ただ、キャラの喋るセリフが今ひとつ噛み合っていなかったことや、物語上必要な部分での説明不足が目立ったのは少々残念なところ。あと、こういう物語の宿命なのだろうけど、キャラが多すぎで見分けがつきにくかったのも何とかして欲しかったかなと。だが、ラストの戦いはそれを覆すにたり得るスピード感と爽快感があった。ぜひ続編を期待したい。
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2007.03.06 Tuesday
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ボクは殺し屋。『ラビオリ・ウエスタン』
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ラビオリ・ウエスタン
森橋 ビンゴ
少しばかり親が金持ちで、小さい頃から何不自由なく暮らしてきていて、すこし妄想が逞しいことを除けば、ハセガワハナヲはごく普通の女子高生。
だけれども、両親の自殺を機にそれががらりと変わってしまった。突然現れたヤクザに連れ出され、両親の残した借金の形に身売りや臓器売買の話をされたあげく、連れて行かれたのは何故かイタリア料理店。そこでラビオリと名乗る綺麗なお姉さんに身を預けられることになったのだが、何と彼女は殺し屋。そう、ハナヲは殺し屋の相棒として働くことになったのだ……。
少女の軽妙な語り口調で語られる愛と復讐の物語。作者は森橋ビンゴ先生。レーベルはファミ通文庫。
この作品は主人公であるハセガワハナヲの一人称視点で描かれており、彼女の目を通してラビオリという女殺し屋を描く、という作りになっている。特徴的な語り口調を使っているのだけれど、さして気にはならず、一見してみるとかなりの文字量に感じられるのだがすいすいと読み進めることが出来た。
キャラクターの方も良く味付けがされており、その中でもラビオリが特にいい。基本的に「銃持って戦うお姉さん」というのがよしきちは大好きなわけだが、彼女の存在は本作品内で一際眩しく輝いていた。もちろんそれだけではなく、ラビオリとハナヲの日常シーンも一押しだ。
ただし、この作品の総合的評価は、主人公の心情が理解出来るか出来ないかで決まるのではないかと思う。と言うのも、この物語はハナヲの心理描写で紡がれていく訳なのだが、これがいまいち感情移入しにくいのである。作品に対する感じ方は人それぞれであるとは思うのだが、よしきち的にはどうにも苦手な部分があった。(暴力表現がどうのこうのということではなく、あくまでも主人公の物事のとらえ方に対してである。)そこがクリアできれば、もっとツボにはまる作品だったのではないかと。
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2007.03.04 Sunday
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騎士たる少女の正義『モノケロスの魔杖は穿つ 2』
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モノケロスの魔杖は穿つ 2 (2)
伊都 工平
総勢4名という小さな王国の騎士となってしまった長川律。鍛錬の日々を送る彼女には、どうしても成し遂げなければならないことがあった。それは、地面に突き刺さったまま未だに引き抜かれることのない大剣――「神剣」をこの手で引き抜くこと。それは救えなかった弟のため、そして、あの人に一歩でも近づくため。だが、神剣を巡る様々な思惑が作用して争いが勃発し……
立木ヒロを王とする小さな小さな王国の物語。本作はシリーズ第2弾。作者は伊都工平先生。レーベルはMF文庫J。
王国を作るのに必要最低限の人数である4人を集め、辛うじて国家成立。だけども王である立木ヒロがなぜか一番立場が低そうだなー、というところで終わった前作。相変わらず主人公の下っ端ぶりは健在だ。しかし今回は、王国の騎士である長川律に焦点を当てた物語となっている。
いやいやいや。伊都先生の何が好きって。そりゃもう登場人物達の口から飛び出す熱いセリフに尽きるってもんです。特に前作で熱いセリフを吐きまくっていた長川律がメインの物語ということで、今回は無条件に一押し。ボクっ子が巨大な鎧をまとって剣を振り回して大活躍♪、なんて話を聞いたら書店に買いに走り出す人もいるんじゃなかろうかと。
とは言ってもそれだけではなく。
もちろん前作から引き継いだ物語の謎や、これから重要な鍵となっていく(と思われる)人物が少しずつ明らかにされていくのでそちらの方にも注目。あと、主人公である立木ヒロとプチ性格破綻者の魔法使い、真名辺麻奈のコンビが何とも言えない微妙な間柄でもどかしい。でもそこが良い。スケールのでかさも良い。伊都先生好きにはたまらない作品だ。
……そう言うよしきちもその一人なのですがね。
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