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幸せな時間は過ぎ去って。『ゼロ・イクステンド』

ゼロ・イクステンド
ゼロ・イクステンド
赤井 紅介

世界は二つ存在していて、いま現在、互いの生存を賭けた戦争をしているのだという。そして超能力者達は兵士として日々の戦いに明け暮れており、自分はそこから脱走してきたのだとラウラは語った。当然、圭一郎は信じることなど出来るはずもなかった。しかも、超能力者達の標的が自分だなどとは。だが、行き場のない女の子を追い出すわけにもいかず、友人の亜由美、和彦と共に彼女の面倒を見てやることにしたのだが……。

超能力者達の生存を賭けた戦いを描く。作者は赤井紅介さん。レーベルはスーパーダッシュ文庫。

超能力者同士の戦闘シーンがテンポ良く描かれていて好感が持てた。ただし、超能力バトル自体がそんなに目新しいものではないので、面白さを引き立てるほどではないなと。出だし部分が強引だったり、女の子の描写に関して狙いすぎているところも違和感を感じてしまったところ。

ただし、何気ない日常、楽しい友人達との一時、恋を巡る駆け引きや、軽妙な会話などを織り交ぜて描かれる前半部分には非常に引き込まれるものがあった。この作者さんはそれを計算していて、あの後半の展開としているのだろう。物語の構成としては非常にシンプルなのだけど、ページを捲らずにはいられない純粋な面白さが作品全体から感じられた。

キャラクター的には亜由美を一番押しておきたいところ。特に、亜由美が圭一郎に対して放った殺し文句は、彼女だからこそ言えた言葉でしょうな。彼女の妖しげな行動が何とも魅力的です。

読み終えた後、なぜか「努力」「友情」「勝利」という少年ジャンプの3要素が思い浮かんできた。「努力」というのは少々?マークが付くかも知れないが、それ以外に関しては大いに盛り上がった作品だった。文体も読みやすいので、万人にお勧めできそう。まだ物語の謎が全て明らかになるわけではないので、続編に期待。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 22:20 | comments(3) | trackbacks(1) | - |

おんなの子の初恋。『クレイジーフラミンゴの秋』


クレイジーフラミンゴの秋
誼阿古

中学一年生の二学期。夏休みが終わり、学校の行事が目白押しなこの時期に、菅野晴は同性である女子達の思惑によりクラス委員に祭り上げられてしまった。担任の原田はやる気なさそうでいかにも非協力的だし、クラスメイト達もくだらないことですぐに騒ぎ立てようとする。うんざりする晴だったが、季節の行事を通してクラスの人間関係は刻一刻と変化していく。それと共に彼女の心にもおかしな気持ちが芽生え始めて……。

昨年の秋に発売されたGA文庫刊『クレイジーカンガルーの夏』のスピンオフ的な作品。作者はデビュー二作目の誼阿古(よしみ・あこ)先生。

まず最初に述べておく。これはライトノベルとは趣が微妙に異なる作品だ。
前作でもそうであったように、特殊な設定やキャラクターは一切出てこない。あくまでも等身大の少女にスポットを当てた作りとなっている。SFやファンタジーやラブコメを期待しても何も出てこないし、展開もあくまでも現実に沿ったものとなっている。だからこそ貴重な存在と言えなくもないが、読み手を選ぶことだけは間違いないだろう。

ただし、作品の善し悪しでいえば、間違いなく良質な作品と言える。
子供から大人に成長していく過渡期の、ほんの少しだけ女の子が成長する瞬間を見事に切り取ったストーリー。嬉しいのに、素直に嬉しいと思うことが居心地悪いと感じてしまう歯がゆい年頃の女の子を描ききったその描写力。
これはいま中学生である人たちよりも、かつて中学生だった人たちに受け入れられやすいのではないだろうか。自分への過信と、大人たちへの不審に満ちていたあの頃の自分を思い出して、思わず恥じ入ってしまったりすること請け合いだ。

よしきちはページを読み進めながら、心の中で学生時代の先生やクラスメイト達に何度も頭を下げましたよ。ホント、自分は馬鹿でした。この作品に登場する男子達にそっくりですよ。

懺悔するも良し、過去に思いを馳せるも良し。或いは今の自分たちはこんな感じで見られているのかと頷くのも良し。どこまでも等身大な主人公が、その後どうなったかを想像するも良し。とにかく、読んで何かを感じ取ることが出来たなら、それでいいんじゃない?というような作品だった。この先生のSFやファンタジーも読んでみたい気がするのだけれど。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:17 | comments(0) | trackbacks(1) | - |

2月新作アニメ『ロケットガール』第1話

体重が軽いから――それだけの理由で宇宙飛行士にされてしまった女子高生たちの物語。

原作はSF作家の野尻抱介先生。1995年に富士見ファンタジア文庫から発売された同名小説を元に、今回のアニメ化の運びとなった。ちなみに原作は新装版(全3巻)が発売されているので現在でも読むことが出来る。

今回の話は、主人公であるゆかりが父を捜すためにソロモン諸島までやってくるというもの。今後彼女の仲間となる少女達もチラリと顔見せしていたが、しばらくはゆかりにスポットを当てて描いていくのだろう。宇宙飛行士にされてしまった彼女がどうやって厳しい訓練を乗り越えていくのか気になるところだ。

さすがに宇宙航空研究開発機構(JAXA) が協力しているだけあって、リアルな描写には期待できそうだ。但し、作中のCG部分の作りが微妙に安っぽく感じられたのは残念だった。この手のアニメは設定やメカニックに手抜かりがあると酷くちぐはぐに見えてしまうので、今後改善されていくものだと信じたい。
posted by: よしきち | アニメ感想 | 20:11 | comments(0) | trackbacks(3) | - |

機械少女のメモリー。『銀の手のシーヴァ ハカセとコトリ』

銀の手のシーヴァ ハカセとコトリ
銀の手のシーヴァ ハカセとコトリ
立原 透耶

魔法王国の王子であるシーヴァは王となることを拒み、友である至高の魔法術師レイアードとともに国を飛び出した。だが、神々の地『異郷』を目指したはずの2人がたどり着いたのは見知らぬ土地――魔法王国とは別の発展を遂げた『機械帝国』だった。
魔法を否定し、機械力をすべての拠り所とする異質な世界にとまどうシーヴァとレイアード。やがて2人はこの国の歪んだ現実を目の当たりにしてしまう。シーヴァは偶然助けた機械人形の少女『コトリ』とともに、その元凶を探し出そうと動くのだが――。

隻腕の王子、シーヴァの冒険を描く異世界ファンタジー。作者は立原透耶先生。レーベルはGA文庫。

機械と人間。
この2つを分け隔てていた境界が、極度に曖昧になってしまったアンバランスな世界――『機械帝国』。それまで魔法という概念しか知らなかった主人公達の戸惑いと憤りを通して描かれる奇妙な世界観は、なるほど社会風刺に満ちていておもしろい。

いや、特に斬新なやり方というわけではないけれど、こういう題材はいつの時代の作品にも存在していてほしいなぁと思うのですよ。

全体的にみて少々強引な展開が目立つ作品だったが、丁寧なキャラクター作りと、何を伝えたいのかがハッキリとした物語には好感が持てた。あと、主人公の契約神である星華がベタベタにかわいいのでそれも注目。
一体シーヴァたちは冒険を通してどのように成長していくのか。まだまだ彼らの物語は始まったばかりなので、今後の展開に期待したいところ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 08:52 | comments(0) | trackbacks(3) | - |

宇宙レベルのホームドラマ『世界平和は一家団欒のあとに』

世界平和は一家団欒のあとに
世界平和は一家団欒のあとに
橋本 和也

「神様」或いは「運命」によって世界平和を委ねられた星弓家。
伝説の勇者である父を筆頭に、その家族にはそれぞれ異なる驚異的な能力が備わっていた。一家の長男である軋人もその例外ではなく、生命の流れを操るという能力を活用して今日も世界平和の一翼を担う――筈なのだがどうやらそれどころではないらしい。
何かを隠している弟、何かを思い詰めている妹、そして敵よりも恐ろしい姉。「あの日」が近づくにつれて兄妹の絆が悲鳴を上げる。果たして、軋人は家族の平和を取り戻すことが出来るのか――。

タイトルが内容を体現している作品。作者は第13回電撃小説大賞〈金賞〉を受賞した橋本和也さん。本作品はその受賞作。

まずはそのスケールのでかさに感服。
なんといっても世界平和のために戦う家族という設定。一見ありがちに思えて、いざ書くとなると非常にまとめづらそうなテーマを、現代の家族像をベースに見事に描ききったところにこの物語の面白さがある。世界観は広いが、広げる風呂敷はコンパクトにまとめて上手く一冊分で収めたという感じだ。登場人物も、焦点を当てるべき人物とそうでない人物の書き分けがしっかりとされていて全くぶれる様子がない。家族の間で交わされる、軽妙な会話も手伝って良質な作品に仕上がっている。

中でも星弓家次女、七美のお姉さんっぷりにはしてやられた。
恐らくは『人類最強』の部類に入るであろう彼女の、姉としての優しさにはただ脱帽するばかりである。どこの世界に弟を窓から放り投げるお姉さんがいますか。強(つよ)かわいいですよ、七美さん。

本作では焦点の当たらなかった家族もいたが、それは今後紹介されていくだろうと期待したい。つまりは次回作を望む、ということで。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 21:58 | comments(0) | trackbacks(9) | - |

愛と勇気のおとぎ話『ミミズクと夜の王』

ミミズクと夜の王
ミミズクと夜の王
紅玉 いづき

『ミミズク』は動物ではなく少女でした。
彼女は魔物の蔓延る森を歩いていました。両手両足に科せられた重い鎖を引きずって。なぜなら探している人がいたからです。それはこの森の支配者、魔物を統べる絶対的な存在。その名を『夜の王』と言いました。
少女には一つだけ願い事があったのです。とても叶えて欲しい、願い事が。
出会った魔王は月の瞳を持つ美しい姿をしていました。そんな彼に対して少女は、ただ無邪気に願いを口にします。
ねえあたしを食べてよ――と。

小さな少女の崩壊と再生の物語。
作者は第13回電撃小説大賞〈金賞〉受賞作家である紅玉いづき先生。本作品はその受賞作品。レーベルは電撃文庫。

感動した。
いや、号泣とかそんなのではなくて。
作品を読み終え、本を閉じ、机の上にそれを置いて一息ついて。それから「いやー、良かったよこれ」としんみり思えるような作品だった。

この作品の主人公は特に「美少女」というわけでもない。
むしろ、その容姿を飾り立てるための言葉などほとんど無いに等しい。別に聡明というわけでもないし、特殊な能力があるわけでもない。
ただ、純粋なのだ。どこまでも澄んだ空のように彼女の心は美しい。
どんな苦しい状況に置かれても一点の曇りも見せないその行動には、ただ素直に感動するしかない。読む人によっては平坦な印象を受けるかも知れないが、ジブリの映画に心を躍らせた経験が一度でもある人には、きっと伝わるものがあるはずだ。何かを失った主人公が、周囲の人間と共に成長しながら失ったものを取り戻していくあの過程が、この作品には確実に息づいている。

物語のラストにも泣かされたが、それに引き続いて読んだ巻末のあとがきが更によしきちの胸を熱くしてくれた。確かに、この人だからこそ描けた作品なのだろうと素直に納得できる。どうか、この作品を読むときは、あとがきは最後に読むことをお勧めしたい。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 23:14 | comments(0) | trackbacks(13) | - |

哀傷に満ちた世界『スプライトシュピーゲル』

スプライトシュピーゲル 1 (1)
スプライトシュピーゲル 1 (1)
冲方 丁

かつて守られる側だった少女は、今では守る側に立って日々の戦いに明け暮れている。変わらないのは、どちらにせよ死がとてつもなく近くに潜んでいるということだけだ。転送技術によって最新の義体と武器を使いこなし、淡い光を放つ羽によって自由に空を切り裂く3人の少女たち――その中の姉的存在である『アゲハ』は、もう二度と振り返らないという誓いを胸に抱きながら、『ツバメ』『ヒビナ』という仲間の少女と共にテロに怯える都市を羽ばたく。だが、テロリスト達の抱く憎しみはどこまでも根深くて――

スニーカー文庫刊『オイレンシュピーゲル』と世界観・時間軸を共有するもう一つの物語。泥沼のような憎しみに立ち向かう、『妖精』と呼ばれる3人の少女達の戦いを描く。作者は『マルドゥック・スクランブル』などで知られるSF作家、冲方丁先生。レーベルは富士見ファンタジア文庫。

『オイレンシュピーゲル』が下地にしていた悪ふざけに満ちた世界は少々鳴りを潜め、本作ではアゲハという少女とテロリスト達に焦点を当てた作りとなっている。別の視点から見るもう一つの世界というのを垣間見ることが出来て、面白い作品に仕上がっていると言えるだろう。
ただし、読みづらい文体は相変わらず。これについてはあとがきの中で一定の説明があるので評価は次刊以降に持ち越しと言ったところか。

容赦のない描写に関しても健在で、特に、テロリスト達の物語に関しては本当に慈悲の欠片も見あたらない。そういう結末が彼等には相応しいと分かっているのだけど、しかし、「それ」を正面切って描くというのは難しいところがある。ところが本作ではいともあっさりと「それ」が描かれているのだ。
まあ、それが冲方先生の特長ではあるのだけれど、それにしたってスニーカー文庫と富士見ファンタジア文庫というレーベルを考えてみると、なんかすんごいことになっていると思うんですよね。本当に、読み手の好き嫌いが別れるところじゃないかなと。

本作と『オイレンシュピーゲル』は、いずれ深く結びつく関係にあるらしいので、どちらかを先に読んで面白いと感じた人は、ぜひ両方とも読んでいくことをお勧めする。二つの作品の人物達がどのように結びついていくのか、今後の展開が気になるところだ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 02:03 | comments(0) | trackbacks(3) | - |

悪ふざけに満ちた世界『オイレンシュピーゲル』

オイレンシュピーゲル 1 (1)
オイレンシュピーゲル 1 (1)
冲方 丁

「なんか世界とか救いてぇ――」
悪夢のような人生を過ごしてきた少女ですら、なんとなく考えてしまうほどにオイレンシュピーゲル(悪ふざけ)に満ちた世界。
怠惰な民衆、安っぽい排他主義、エスカレートするテロリズム。子供たちは当たり前のように煙草をふかし、大人たちは逃げるために麻薬をキめる。当然のように人間の命の重さなんて金次第でいくらでも増減が可能。そんな世界にも、やはり正義は必要だ。
『黒犬』『紅犬』『白犬』と呼ばれる3人の少女。飼い主たる警察組織からの無線通信(いぬぶえ)ひとつで呼び出され、最新の義体を駆使して悪夢に立ち向かう。彼女たちの生かされている理由はただ一つ、「戦い続けること――」

クールでキュートでグロテスクな、3人の少女たちの戦いを描く。作者は『マルドゥック・スクランブル』などで知られるSF作家、冲方丁先生。レーベルはスニーカー文庫。

いやはや、なんとも読みにくい文体の作品である。
まずはそこで読み手の好き嫌いがはっきりするのではなかろうか。だが、よしきちは冲方先生が大好きだ。たとえば書くものに容赦の無いところとか。
だから読む。

冲方先生のすごいところは、痛さが伝わってくるところだろう。よくありがちな、ただ残酷に描写をするようなやり方ではなく、本当にそこらへんに転がっていそうな出来事として物語を紡ぐのだ。慈悲なんて言葉は無く、ただ冷静に。テレビのニュースで見る殺人事件よりも、親しい人間が傷付けられることのほうがよっぽど怖いのと同じだ。
だから、この作品に登場する少女たちは痛い。痛すぎる。だけど、それでも少女たちはそんな悪夢のような世界の中で生き続けている。努力家だからではない、熱血漢でもない、ただ、それが当たり前のことなのだと理解して。

この作品の魅力は、すなわち3人の少女たちの魅力に直結している。
世界観とキャラクターが見事に同化した物語と言えるだろう。ただし、最初に述べたように文体の読みづらさと、物語の残酷性には読み手の好き嫌いがはっきり分かれるところかと。
どうしようもない世界観に浸りたい方にはお勧めの作品だ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 08:29 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

死にたがりの少女は何を想う。『シャギードッグ 天使の序章』


シャギードッグ 天使の序章
シャギードッグ 天使の序章
七尾 あきら

人の脳にプログラムをインストールしたり、遺伝子を弄ったりすることが比較的簡単に行えるようになった近未来の日本。
平凡な日常をこよなく愛する高校生、鳴神大介はアルバイト中に拳銃自殺の現場に居合わせてしまう。しかし、周囲の人間が野次馬と化して群がる中で、彼一人だけはとある少女の存在に気が付いていた。
自殺した男に、拳銃を手渡した少女。
だが、誰もその存在に気が付かない。大介だけが、彼女を見ることが出来たのだ。やがて再会した彼女は、自身を『オズ』と名乗った。途端に変貌する日常生活。亡霊のように蘇る過去の記憶が、やがて世界をねじ曲げていく。幼少時に格闘プログラムをインストールされていた大介は、否応なしに闘いの世界へと巻き込まれていくが……。

日本震災(ジャパンクラッシュ)後の近未来日本で巻き起こる、異能力者達の壮絶な闘いを描くハードアクション。作者は七尾あきら先生。挿絵は宮城さん。レーベルは誕生一周年を迎えたGA文庫。

あらすじをひねり出すのが困難なほど、密度の濃い内容だった。脳内導入(インストール)技術による常識外れな戦闘をはじめ、超能力者、遺伝子改変者(エンジェル)、サイボーグ、ロボット等々……。次から次へと現れる舞台措置に、ただただ圧倒されるばかりのよしきちですよ。
だがしかし――面白い。

この作品には一つ欠けている部分がある。
それは、世界観に関する説明だ。登場するほとんどの技術や、過去の歴史などが単語一つで片付けられてしまっていることが多いのだ。だが、足りないが故に、その分読み手の想像力をかき立て、密度の濃い内容と相まって面白い物語を編み出している。

最初はただ、読みやすい文体の作品だと思ってページを捲っていたのだが、ストーリーが進むにつれてどんどん密度が濃くなっていき、いつの間にか深みにどっぷりと漬かっている自分がいた。本作品には、男の子の玩具をギュッと詰め込んだおもちゃ箱のような魅力があるのだ。その最たるものが、ヒロインである『オズ』の存在だろう。けっして手の届かない高嶺の花のような存在でありながら、どこかで摘んでもらいたいと思わせるような仕草が最高にグッジョブ。ただし、主人公との掛け合いが少ないように感じられてしまったのは残念なところかと。他にも、魅力的でありながら消化不良に終わったキャラクターが多数いるので今後の展開に期待したい。

思わず表紙のイラストに目を引かれて買ってしまったのだが、なるほど、挿絵の美しさに負けない面白い作品だった。続編を前提としているらしいので、今からそれが待ち遠しいところだ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(4) | - |