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その道はただそこに『奏でる少女の道行きは』

奏でる少女の道行きは
奏でる少女の道行きは
細音 啓

なぜやらなければならないのか?
日々の行いに疑問を感じた少女は、天賦の才能を持ちながら、あえて別の世界へと飛び込んだ。しかしそこに待っていたのは、希望に満ちた日々ではなく、ただただ、そこにすがり付こうとする焦燥の毎日だった。大切な人々を守ることもできず、自分自身の無力さに苛まれ、不安に過ごす日々。友人たちとは違う道を歩んでしまうことを恐れ、どうしても少女は最初の一歩が踏み出せない。そうこうしているうちに、運命は再び選択を迫ってきて――

招き寄せたいものを、それと同じ色の触媒を通して召還する『名詠式』。それが技術として確立され、専修学校の就職先として実際に存在する世界。詩的な讃来歌(オラトリオ)と、迷いながらも成長しようとする少女たちの織りなす召還ファンタジー。
作者は細音啓(さざね・けい)先生。第一八回ファンタジア長編小説大賞の佳作受賞作品である『イヴは夜明けに微笑んで』の続編だ。シリーズを通しての題名は、『黄昏色の詠使い』。

今回は、前作の触媒暴走事件からそう経っていない夏期休暇のお話。位置づけ的には、主人公であるネイトやクルーエルではなく、その周囲の人物を深く掘り下げるための別の視点的な作品ということらしい。そのメインキャラとして、前作でも少々登場したエイダという少女が選ばれている。

と、言うよりも。
どちらかといえばエイダが主人公の話といっていいだろう。もちろん本来の主人公であるネイトたちも健在だが、感情の配分というか、描かれ方でも彼女に重点が置かれているのは間違いない。(おそらくは)この作品の趣旨であろう、名詠式を学ぶ「少年少女たちの青春模様」をよく表現していて、読んでいる側としても爽やかな読後感が残る印象だ。

前作で不備を感じた人物に対する焦点の当て方も、本作品ではよく練られており、エイダがメインでありながら同時にほかの視点でも物語が進んでいく様子は、読んでいて非常に心地よかった。少々、登場人物たちの行動や言動ににご都合的な部分が含まれていたようにも感じたが、最後にエイダの元へ物語を収束させていく手法は、彼女を引き立てるのに成功しているのではないだろうか。つまりは、よしきちは彼女のことがとっても気に入ってしまったというわけで。

このシリーズの見所は、相変わらず少女たちの選んだ行き先にあるようだ。エイダが何を思い、何を感じ、そして何を選んだのか。美しい讃来歌(オラトリオ)と共に戦う、凛々しい彼女の姿が印象に残る作品だった。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 11:02 | comments(0) | trackbacks(3) | - |

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2007/05/27 1:37 PM
Posted by: booklines.net
[細音啓] 奏でる少女の道行きは 黄昏色の詠使い 2
またあの夢だ。逃げろといわれて逃げたあの時、本当に自分は何もできなかったのだろうか。先日の事件に、エイダが苛まされていたころ、一年生たちの基礎作りとして行われる、夏季集中補講が行われることになった。だ...
2007/05/28 2:20 AM
Posted by: Alles ist im Wandel
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2007/05/28 7:47 AM
Posted by: 読了本棚
奏でる少女の道行きは
名詠式の専門学校であるトレミア・アカデミーの夏期集中補講に参加したネイトやクルーエルら1年生達。特にネイトは初めてのことばかり。だが、講師達にはとある研究所の調査という極秘の調査が与えられていた――――