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幸せをたずねて。『バニラ―A sweet partner』

バニラ―A sweet partner
バニラ―A sweet partner
アサウラ

不幸な人生だった。大切な人が死に、追い打ちを掛けるように裏切りと悪意がこの身に降りかかる。誰も信じてくれなかった。誰も助けてくれなかった。
海棠ケイは、同じように不幸を背負う梔ナオと共に、ある決心をする。それは、力を手に入れること。銃という名の、無敵の力をこの手に収めることだった。
しかし、狙撃という手段は次第に彼女たち自身の首を絞めていく。信念を貫こうとする刑事達と、プライドを貫こうとする警察と、そして無責任な観衆達を巻き込んで2人はどこへと向かうのか――。

2人の少女の逃避行を描くバイオレンス・アクション。作者は第5回SD大賞受賞作家のアサウラ先生。レーベルはスーパーダッシュ文庫。

この作品は、銃の所持が自衛手段として法的に認められ、それに応じて社会変化を起こした日本が舞台の話。これは先生のデビュー作である『黄色い花の紅』から引き継がれた世界観で、本作にも前作の登場人物が何人か登場している。その為か、世界観に関する説明はほとんど無く、本作がはじめてという人には少々わかりにくい内容かも知れない。

ただし、その描写力や構成力は間違いなく圧倒的。
ライトノベルと呼称するには少々気の引ける紙数であることや、それに加えてバイオレンス・アクションというジャンルであることを差し引いても、一つの物語として完成度は高い。近いところで言えば、良質なハリウッド映画のような、スピード感と物語性を兼ね備えた作品――というか、かなりそれを意識した作りに感じられる。いや、良い意味で。

この物語には、2人の少女が主人公として登場する。彼女たちは、常識ある人間から見ればとても非常識で、危険きわまりない存在だ。そして、もう一組の主人公として、2人の刑事が登場する。こちらの方は、世の中の理、或いは良心的な存在に位置づけられていて、読み手としては非常にやきもきさせられる存在だ。他にも、様々な立場を代表する人物がこの作品には登場する。彼ら・彼女らは、それぞれがそれぞれの立場で悩み、奮闘し、そして事件は収束へと向かっていくのだ。その様は、読んでいて非常に小気味が良かった。賛同できるキャラと、そうでないキャラとにもそれぞれ「理由」というか「リアリティ」のようなものが息づいていた。

かなり読み手を選ぶ作品ではあるけれど――というか、ライトノベルっぽくないけれど、登場人物達の信念や想いといったものは充分伝わってくる。世界観だけで敬遠してしまう人もいるかも知れないが、ぜひ、一度手にとって読んで貰いたい作品の一つだ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 20:22 | comments(0) | trackbacks(1) | - |

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2007/05/03 11:27 PM
Posted by: booklines.net
[アサウラ] バニラ A sweet partner
二ヶ月前に銃器強奪事件が発生し、警察の捜索にもかかわらず、銃器の行方は不明のままだった。やがて、警察が恐れていた事態が発生した。奪われた銃によって、警察官の命が奪われたのだ。手がかりが見つからない中、...