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それは、誇り高き蛮族。『雪蟷螂』

紅玉 いづき
アスキーメディアワークス

JUGEMテーマ:読書 

涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を―。

長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。それは、想い人を喰らう“雪蟷螂”とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガとの政略結婚だった。しかし、その約束の儀は、世代を超えて交錯する人々の想いにより阻まれる。

果たして、山脈の地に平和は訪れるのか。そして、極寒の地に舞う恋の行方は…。

『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く“人喰い物語”最終譚。 
ブログの立ち上げ以来、紹介文は自分で考えていたんですが、感想記事を書く時間の大部分をそこにとられていることに今さらながら気付きました。現在仕事も忙しかったりするので…。今後、読書記事での紹介文は引用を用いていきたいと思います。

それでは早速感想を。

「ああ、面白かった!」
これだけでも良いぐらいなんですが、もう少し詳しく書きましょうか。
最初に引き込まれたのが、名も無き少年と幼き頃のアルテシアが出会うシーン。つまり、冒頭から作品に魅了されていたというわけです。大好きなシチュエーションに加えて何と彼女の気高きこと! その後の成長したアルテシアの姿を読んでも、全く違和感を覚えませんでした。剣を持つにはあまりにも幼い。でも、全くその事に不自然さを感じさせない強い心、勇気ある行動、そしてそれを培った辛い過去。「武器を持つ少女」というのはよく物語の題材になりますけど、ここまでしっかり丁寧に描かれると、年齢や性別、創作であることですら些細な事実に思えてくるから不思議だなぁと。

そして脇を固める人物達も負けていません。アルテシアの影武者であるルイ、彼女の主を思う素直な気持ちがどこまでも透明で真っ直ぐで、単なる視点描写の一人ではない存在感を醸していました。彼女のその後は祝福されて欲しいなぁ。政略結婚の相手であるオウガも、決して弱みを見せない可愛げのない奴だけど、それでも捨てきれない人の子の気持ち、その思いを吐露するシーンで一気に好きになりました。結婚するまでは、男なんて結局そこに行き着くものなのかも……。情熱の人、ロージアさんについては後述しましょう。近衛のトーチカは、何とも複雑。強くなるためにあのような姿に身を窶して、でも、そこから先へは決して進めない、彼とアルテシアの主従関係は、どこまでも変わることがないんだろうなぁと想像すると、無性に寂しくなる。冒頭のシーンがあったから尚更そう感じるんでしょうかね。

そういえば彼のイメージが、妙に「キャプテンハーロック」に出てくるトチローと似ているんだよなぁ。思い切り話がそれますけど、なんだろう、物語の要所要所に松本零士先生の作品の香りが漂うような。美女と醜男という組み合わせだからか、或いは、雪山に魔女、という組み合わせだからか、一つ一つの題材を手に取ってみるとそうでもないのだけど、なんとなくそんな事も考えてしまいました。ああ、そういえば手塚先生の「火の鳥」にも似たような……と、どうでも良いことですね。年かなぁ。

先代フェルビエ族長の妹であり、アルテシアの叔母でもある、ロージア。二つの部族とそれぞれの若き族長の運命をかき乱し、情熱のままに生きたロージア。自身の腕を持っていかれてなお、兄の呼びかけに答えて誇りを奮い立たせる彼女のその姿には、思わず鳥肌が。この物語の本当の主人公は彼女だったのかなぁ、とも考えてしまいます。実際、彼女の雪蟷螂としてのあまりにも激しすぎる愛情が明らかになったところで、話の盛り上がりも頂点に達したような気がしたので。巡り会ったばかりの作品だけど、「まさに彼女こそフェルビエの女!」と変な納得です。

グダグダと書いてきたところで最後に蛇足を。
些細なことなんですが、作中に二回ほど登場人物の呼称が入れ替わっていたと思しき箇所があったんですよね。あれは、単純な校正ミスなんでしょうかね? 読む手が止まってしまったのはちょっと残念でした。それにしても、世界観とその登場人物に「確かな存在」を感じることが出来た作品は本当に久しぶりだったので、嬉しかったなぁ。意外なところで他作品との関連も確認できましたし。一年のスパンが短いのか長いのか、人によって意見は分かれそうだけど、これだけの大作は年に一回読めれば満足。うーん、三作まとめて、ジブリかNHKアニメ辺りで映像化してもらえないかなぁ……。
 
押してもらえると士気が微増します。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

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2009/02/10 1:41 PM
Posted by: 屠られ日記!(GNO2)
雪蟷螂
[http://www.amazon.co.jp/dp/4048675230/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1234235366&sr=8-1 雪蟷螂 (電撃文庫) ] 著者/紅玉いづき  イラスト/岩城拓郎   ''涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を―。長きにわたって氷血戦争
2009/02/10 9:49 PM
Posted by: 狭間の広場
雪蟷螂/紅玉いづき
雪蟷螂 (電撃文庫)/紅玉 いづき ¥578Amazon.co.jp 【涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。 この婚礼に永遠の祝福を―――。 長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。 その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。 それは、想い人