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悪ふざけに満ちた世界『オイレンシュピーゲル』

オイレンシュピーゲル 1 (1)
オイレンシュピーゲル 1 (1)
冲方 丁

「なんか世界とか救いてぇ――」
悪夢のような人生を過ごしてきた少女ですら、なんとなく考えてしまうほどにオイレンシュピーゲル(悪ふざけ)に満ちた世界。
怠惰な民衆、安っぽい排他主義、エスカレートするテロリズム。子供たちは当たり前のように煙草をふかし、大人たちは逃げるために麻薬をキめる。当然のように人間の命の重さなんて金次第でいくらでも増減が可能。そんな世界にも、やはり正義は必要だ。
『黒犬』『紅犬』『白犬』と呼ばれる3人の少女。飼い主たる警察組織からの無線通信(いぬぶえ)ひとつで呼び出され、最新の義体を駆使して悪夢に立ち向かう。彼女たちの生かされている理由はただ一つ、「戦い続けること――」

クールでキュートでグロテスクな、3人の少女たちの戦いを描く。作者は『マルドゥック・スクランブル』などで知られるSF作家、冲方丁先生。レーベルはスニーカー文庫。

いやはや、なんとも読みにくい文体の作品である。
まずはそこで読み手の好き嫌いがはっきりするのではなかろうか。だが、よしきちは冲方先生が大好きだ。たとえば書くものに容赦の無いところとか。
だから読む。

冲方先生のすごいところは、痛さが伝わってくるところだろう。よくありがちな、ただ残酷に描写をするようなやり方ではなく、本当にそこらへんに転がっていそうな出来事として物語を紡ぐのだ。慈悲なんて言葉は無く、ただ冷静に。テレビのニュースで見る殺人事件よりも、親しい人間が傷付けられることのほうがよっぽど怖いのと同じだ。
だから、この作品に登場する少女たちは痛い。痛すぎる。だけど、それでも少女たちはそんな悪夢のような世界の中で生き続けている。努力家だからではない、熱血漢でもない、ただ、それが当たり前のことなのだと理解して。

この作品の魅力は、すなわち3人の少女たちの魅力に直結している。
世界観とキャラクターが見事に同化した物語と言えるだろう。ただし、最初に述べたように文体の読みづらさと、物語の残酷性には読み手の好き嫌いがはっきり分かれるところかと。
どうしようもない世界観に浸りたい方にはお勧めの作品だ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 08:29 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

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2007/02/06 1:00 PM
Posted by: booklines.net
[冲方丁] オイレンシュピーゲル 壱 Black & Red & White
オーストラリアの首都であるミリオポリスでは、凶悪犯罪やテロが多発しているをうけ、肉体に障害のある児童に機会の体を与え、治安の維持にあたらせた。通称特甲を手にしたMPB遊撃小隊の「ケルベロス」の小隊長を...
2007/02/12 12:25 AM
Posted by: ぬるいヲタク猫風味
オイレンシュピーゲル 壱
『オイレンシュピーゲル 壱』(著:冲方 丁 イラスト:白亜右月 スニーカー文庫刊)を読了。  結構面白かったです。クレイジーで暴力的で救いがないようであるような物語。死や人生の不運というのが容赦なく描かれてい