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歴史に翻弄される二人『僕たちのパラドクス―Acacia2279―』


僕たちのパラドクス―Acacia2279
僕たちのパラドクス―Acacia2279
厚木 隼

タイムパラドクスや時空犯罪に対処するための専門組織『時空監査法院』に属する時空監査員、ハルナ・キリシマ。彼女の役割は荒事専門、つまり凶悪な時空犯罪者を適正に処理することだ。もちろん2006年の日本で起きた時空犯罪も、規定の5分という時間で十分処理が可能のはずだった。
はずだったのだが、高崎青葉という少年に現場を目撃されてしまい、オマケにもとの世界にも戻れなくなってしまうというハプニングが起きてしまう。自身の身に、そして未来の世界に何が起きたのか。青葉とハルナは協力して捜査を開始するが……。

タイムマシンによって引き起こされる時空犯罪や歴史改変を扱った、いわゆるタイムパラドクス作品。『戦国自衛隊』や『ターミネーター』に代表されるようなアレである。
作者は第6回富士見ヤングミステリー大賞で大賞を受賞した厚木隼さん。本作品はその受賞作でありデビュー作だ。

まずはこの作品の読後感だが、残念なことに共感を感じられるようなところはほとんど無かったと言っていい。
巻末のあとがきには、本作は作者が初めて書き上げた初投稿作品と書かれていたが、本当にその通りと言わざるを得ない出来だった。
文章の稚拙さ云々などの話ではなく、純粋に作品としての面白味が欠けているのだ。僕は話の内容さえ面白ければ文体などどうでもいい派なのだが、この作品に関してはどうも頂けない。
自分の興味のある分野に関しては結構詳しく書かれているのだが、それ以外の部分に関しては曖昧な知識で書かれた箇所が多過ぎる。加えて、緩慢な描写の戦闘シーン、理解しにくい表現、物わかりの良すぎる主人公に単純なヒロイン等々……。
物語の仕掛け自体はそんなに悪くないのに、これでは勿体ない。まるで『結末』に『過程』が振り回されてしまった、ある意味タイムパラドクスな作品と言えるのではないか。

……とまあ、ここまで書いておいて何をという話だが。

この意見はあくまで、さんざんアニメ見て小説読んで妄想ばっかりが発達してきた二十歳をとうに過ぎたオッサンの意見というやつである。本来のライトノベルの読者層である、中学生・高校生が読んでみてどうなのかまでは分からない。
読み口は軽いし、設定に関しても稚拙さはあるがよく練られている。SF世界への入り口的な作品と考えれば、そう悪いものではないのかも。そこのところの意見も知りたいところかと。

よしきちにとって、1本の小説を書き上げることの出来る人間は基本的に『すごい人』である。何百ページもの作品を完成させるのは非情に根気の要ることだし、そもそも長編小説を書こうと思い立つことすら、凡人である僕には難しいことなのだ。しかも、それで賞を取るということは何か光るものがあるからに決まっている。
この作品の作者は、幸か不幸か『初心者』だ。良質な作品に学び、きちんとした考証を行えば、今後は伸びるに違いない。本の帯に謳っている『ダイヤモンドの原石』ならば、きっとそうであると信じている。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 20:40 | comments(0) | trackbacks(7) | - |

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2007/01/24 12:06 AM
Posted by: ライトノベル名言図書館
書評/僕たちのパラドクス
☆☆☆☆+ 僕たちのパラドクス -Acacia2279- 著者/厚木隼 イラスト
2007/01/26 7:40 PM
Posted by: booklines.net
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2007/01/27 3:23 AM
Posted by: たこの感想文
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Posted by: ラノベ365日
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Posted by: ぬるいヲタク猫風味
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2007/02/10 12:06 AM
Posted by: ちょいヲタ?バスタア日記
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2007/02/28 7:11 PM
Posted by: ライトノベルっていいね
僕たちのパラドクス―Acacia2279
僕たちのパラドクス―Acacia2279 著者 厚木隼 イラスト QP:Flapper レーベル 富士見ミステリー文庫  タイムマシーンはミステリー?  人気blogランキングへ ← よろしくお願いします。  クリック