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あの、帰らない日々。『クレイジーカンガルーの夏』

クレイジーカンガルーの夏
クレイジーカンガルーの夏
誼 阿古

1979年、中学1年の夏休み。
須田広樹は休みの初日に従兄弟である洌史(きよし)の些細な異変に気が付く。ガンダムの放送に一喜一憂していても、プールに行っても、友達とはしゃいでも、広樹は従兄弟の異変が気になって仕方がなかった。しかし、大人達はそんな広樹を「子供だから」の一言で片付けようとする。
やがて洌史の家庭の事情を知った広樹は、洌史・友人と画策して冒険の旅に出るのだが……。

少年達のちょっぴり切ない青春物語、といった趣の本作品。
おおよそ、ライトノベルが持っている要素をほとんど備えていないので買うときには注意が必要だろう。幼なじみの女の子も、許嫁の女の子も、ましてや転校生の不思議な女の子もまったく登場しない。ツンデレもだ。舞台は平凡な70年代の田舎町。登場人物は、少年4人とその他の大人達といった具合。ライトノベルを読むつもりでページをめくり始めた僕も、頭を切り換えるのには結構苦労してしまった。

作者は、これがデビュー作の誼 阿古(やしみ・あこ)さん。レーベルはGA文庫。
どうやら物語の舞台は作者自身の出身地らしく、なるほど、情景描写に関しては申し分のないほど雰囲気が出されている。まだ『家』という意識が残っていた当時の空気が、登場人物達の心に重くのしかかっている様子も、どこか自分が住んでいた土地を匂わせるもので、感慨深いものを抱いた。懐かしい、と言ってもいい。
登場する人物自体も、子供・大人に拘わらず誇張された部分がほとんど無く、物語の現実性を一層高めているのは確か。最後の方で、主人公を含めた幾人かの人間の本心がかいま見られる描写があるが、そこには一片の汚さや綺麗さも感じられない。とにかく、極めて普通の文学作品なのだ。

面白いか、と尋ねられたら微妙としか言いようがない。ウルトラマンやガンダム、当時の流行歌等を作中に取り入れるなど面白い試みも見られたが、ライトノベルを読み慣れた人にとっては少々重たい作品であることは確か。とにかく、ライトノベルのつもりで読まないことだ。
posted by: よしきち | ライトノベル感想 | 18:10 | comments(0) | trackbacks(2) | - |

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コメント
 









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2007/01/22 7:47 PM
Posted by: booklines.net
[誼阿古] クレイジーカンガルーの夏
中学校の終業式も終わり、夏休みが始まってから、従兄弟の冽史と連絡が取れなくなってしまった。家にいるのに、彼の祖母たちが取り次いでくれないのだ。 友人である秀一と敬道から、冽史から家庭の事情を聞いた広樹...
2007/01/22 8:04 PM
Posted by: ぬるいヲタク猫風味
クレイジーカンガルーの夏
『クレイジーカンガルーの夏』(著:誼阿古 イラスト:藤本みゆき GA文庫刊)を読了。  すっごく物語にはまってのめり込むように読んでしまった。しかし……これ、なんでGA文庫からラノベとして刊行しているの? とい